Q:夫が勝手に離婚届を提出してしまいました。離婚の無効を主張するにはどうしたらよいですか。
A:まず、家庭裁判所に離婚無効確認を求める調停を申し立てます。この調停において、事実に争いがなく、離婚無効の審判を受けることについて合意が成立すれば、審判に移行し、離婚無効が確認されます。 事実に争いがあったり、審判を受けることについての合意が成立しない場合などは、調停は不成立として終了します。その後,地方裁判所に離婚無効確認の訴えを提起することになります。
Q:私は離婚するつもりはないのですが、勝手に離婚届を出されそうです。どうしたらよいですか。
A:本籍地の市区町村の役所に「不受理申出」を提出しておくとよいでしょう。 不受理申出の有効期間については、以前は受理されてから6か月という制限がありましたが、現在は期間制限が無くなり、取下げをしない限り効力が続くこととなっています。 そのため、不受理申出の効力を消滅させるためには、書類を提出した役場にて本人が取下げの手続を行う必要があります。
Q:離婚原因にはどのようなものがありますか。
A:民法上定められているのは、@不貞行為、A悪意の遺棄、B3年以上の生死不明、C精神病、Dその他婚姻を継続しがたい重大な事由の5つです。Dその他婚姻を継続しがたい重大な事由には、暴行、虐待、勤労意識の欠如、浪費、愛情の喪失、肉体的欠陥、性的異常、性格の不一致などが含まれます。裁判になった場合には、これらの事由を総合して、裁判官が、離婚を認めるか判断します。
Q:夫が、会社の同僚の女性と性的関係を結びました。離婚したいのですが、認められますか。
A:認められるでしょう。民法で定められている離婚原因のうち、不貞行為にあたると考えられます。不貞行為とは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいいます。この場合、相手方の自由な意思に基づくものであるか否かは問いません。
Q:私は、3歳と5歳の子供をもつ専業主婦です。夫が、家を出て行ってしまい、生活費も入れてくれません。このような夫との離婚は認められますか。
A:認められる可能性があります。民法で定められている離婚原因のうち、悪意の遺棄にあたりうるものです。悪意の遺棄とは、不当な同居義務違反、協力義務違反、扶助義務違反などをいいます。
Q:夫は普段優しいのですが、お酒を飲むと大声をあげ、暴力をふるうこともあります。子どもへの影響もあり、離婚を考えているのですが、離婚は認められますか。
A:認められる可能性が高いでしょう。民法上、定められている離婚原因のうち、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたると考えられます。粗暴な性格や酒乱などに起因する暴行や執拗に繰り返される暴行はそれ自体で婚姻を継続し難い重大な事由にあたります。ただし、一過性の暴行の場合には、その原因が考慮され、離婚が認められないこともあります。病院に行ったのであれば、診断書をもらっておくと良いでしょう。病院に行かなかった場合にも写真をとるなどして、暴行の証拠を残しておきましょう。
Q:私はどちらかというと几帳面で清潔好きな方なのですが、妻は家事などにルーズで、いさかいが絶えません。離婚したいのですが、認められるでしょうか。
A:夫婦間で生活観、人生観が異なる場合(いわゆる性格の不一致)、離婚が認められるかはケースバイケースです。その性格の不一致によって婚姻が破綻しているといえるか、円満な夫婦関係の回復が期待できるのではないか、どちらに責任があるのか、離婚によって一方の生活が困窮するか否かなどさまざまなことを考慮して判断されているので、一概にはいえませんが、性格の不一致を理由として離婚を認めた判例もあります。
Q:夫の浮気がわかり、夫を問いつめたところ、夫は家を出てしまい、離婚をすると言い出しました。夫からの離婚が認められてしまうのでしょうか。
A:原則として認められません。婚姻を破綻させた原因を作った者(有責配偶者)からの離婚請求は認められないと考えられているからです。 しかしながら、@夫婦の別居が長期間にわたっていること、A夫婦の間に未成熟の子がいないこと、B相手方配偶者が精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれないことを条件として、有責配偶者からの離婚請求を認容した判決があります。 具体的には、有責配偶者側の事情として、@破綻の時期、破綻以降の和合の努力の程度、A不貞等有責行為の発生した時期の前後関係、B有責配偶者の責任の態様・程度、C相手方配偶者の婚姻継続についての意思、請求者に対する感情、D離婚を認めた場合の相手方配偶者の精神的・社会的・経済的状態、E当事者間の子、特に未成熟の子の監護・教育・福祉の状況、F別居後に形成された生活関係、特に実質的な夫婦関係を形成している場合、その相手方及びその子らの状況、G時の経過に伴う諸事情の変容、H社会的評価の変化及び時の経過がこれらの諸事情に与える影響などが考慮されています。
Q:数年前から夫婦関係が冷え切っていたのですが、今度、好きな女性ができて、彼女との同棲を始めました。彼女と結婚したいので、妻と離婚したいのですが、離婚は認められますか。
A:原則として、婚姻を破綻させた原因を作った者(有責配偶者)からの離婚請求は認められないとされています。もっとも、婚姻関係が完全に破綻した後に不貞行為をしたような場合には、破綻の原因を作ったわけではないとして、離婚が認められることもあります。
Q:以前、私が不貞行為をしたとき、夫は許してくれました。しばらくは通常の夫婦関係が続いていましたが、その後、はじめた事業がうまくいかなくなり、生活費を減らされ、夫が家に戻らないようになりました。離婚したいのですが、認められますか。
A:妻に不貞行為があっても、夫がこれを許し、しばらく通常の夫婦関係が続いた後、婚姻関係が破綻した場合には、過去に不貞行為をしたとしてもその妻からの離婚請求が認められた判例もあります。具体的事情によりますが、離婚請求が認められる可能性はあります。
Q:話合いで,離婚をすることにお互い納得したのですが,離婚にあたって決めておいたほうがよいことはどのような内容でしょうか。
A:離婚にあたっては,未成年のお子さんがいる場合には,親権者を定めなければなりません。また,財産分与,慰謝料,年金分割等のほか,お子さんがいる場合には,面会交流の内容,養育費等を決めておくのが望ましいです。財産分与や年金分割は離婚のときから2年間,慰謝料は慰謝料が発生するべき事情を知ったときから3年間など請求ができる期限が決められていますので,可能な限り離婚前に,仮に離婚後に決める場合でもできるだけ早めに決めておくことが望ましいです。
Q:話合いで,離婚にあたっての条件についてもお互い納得し,相手から財産分与や養育費として今後お金を支払ってもらうことになりました。また,2分の1の割合で年金分割をする合意もできました。なにか書面を作成しておいたほうがよいのでしょうか。
A:お互いに納得して確定的に合意をしたのであれば,それらの約束は書面がなくても有効です。しかし,書面がないと後々争いになることも多いため,書面を作成しておくのが望ましいです。書面の形式としては,自分達だけで作った合意書でも意味はありますが,内容に不備がないように弁護士等の専門家の確認を受けておくと安心です。 また,より確実性が高い書面を作成しておきたい場合には,公証役場にて公正証書を作成する方法もあります。この場合,相手方の同意により強制執行受諾文言(約束を破った場合には,強制的な取立をされてもかまわないとの文言)を記載しておけば,改めて裁判をする必要なく,強制執行をすることが可能となります。 例えば、財産分与を分割払いにする場合や、養育費の支払いがある場合には、特に強制執行受諾文言付の公正証書を作成することにより、将来の不払いに備えることが望ましいと思われます。
Q:離婚をしたいのですが,相手が協議に応じてくれません。どうしたらよいですか。
A:家庭裁判所に夫婦関係調整(離婚)の調停を申し立てましょう。 なお,離婚については,相手方が生死不明,行方不明,心神喪失の状態にあるなど,調停に付すことが不適当な場合を除いて,調停を経ないで訴訟を提起すると家庭裁判所の調停に付されることになっていますので(調停前置主義),後日訴訟になることが見込まれる場合であっても,一旦は調停を行なうことが原則です。
Q:離婚の調停ではどのようなことが決められますか。
A:離婚の成否のほか,親権者や財産分与,慰謝料,養育費、面会交流、年金分割などについても決めることができます。調停では,調停委員が両者の言い分を聞き,調整をしてくれますが,話し合いでは決着がつかない場合には,早期に裁判をした方がよいケースもあります。
Q:離婚の調停を申し立てたいのですが、どこの裁判所に行けばよいですか。
A:原則として,相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てをすることになります。自分が監護している子どもが小さく、相手方の住所地が遠いような事情があるときには、自分の住所地を管轄する家庭裁判所でも調停の受付けがされる場合もあるので、家庭裁判所に相談してみるとよいでしょう。 また、相手方の住所地に申立てをした上で、弁護士の事務所や家庭裁判所から電話会議システムを利用して調停を行うことができる場合もあるので、ご相談ください。
Q:調停を申し立ててから結論が出るまで、どのくらいの時間がかかりますか。
A:当事者間で争いが少なければ,早期に解決しますが,争点が多かったり感情のもつれなどがあると長期化することもあるので、かかる時間の目安を示すことは困難です。。 月に1回程度のペースで調停期日が設定されることが多いので、早くて2か月程度、長くかかると1年以上かかることもあります。
Q:相手が調停に出てこなかったらどうなりますか。
A:相手方が数回不出頭の場合には,家庭裁判所に出頭勧告をしてもらいましょう。それでも出頭が見込めないときは,調停は不成立となって終了しますので,裁判を起こすことになります。
Q:調停によって離婚が成立しました。届出の必要はありますか。
A:申立人,あるいは調停調書において届出をすべきとされた側が,調停調書の謄本を添付して,調停成立の日から10日以内に市町村役場に届け出る必要があります。申立人,あるいは調停調書において届出をすべきとされた側が届出をしないときは,その相手方が届出をすることができます。
Q:離婚の調停が成立しなかった場合には、どうなりますか。
A:家庭裁判所に訴状を提出して、離婚の裁判を提起することになります。訴状には、管轄裁判所に調停が不成立となったことを示す調書,戸籍謄本,住民票などを添付します。
Q:離婚訴訟の管轄裁判所はどのように決められますか。
A:原則として,当事者(夫又は妻)の住所地を管轄する家庭裁判所です。ただし,その家庭裁判所と離婚訴訟を起こす前に離婚調停を申し立てた家庭裁判所とが違う場合は,離婚調停を行った家庭裁判所で離婚訴訟を取り扱うこともあります。
Q:夫が行方不明なのですが,その場合でも離婚ができますか。
A:相手方が行方不明の場合には,調停を経ないで裁判を起こすことができます。訴状を届けるべき住所がわからない状況ですが,公示送達という方法により対応することが可能です。相手方が欠席しただけでは判決はされませんが,陳述書の提出や簡単な原告尋問を行うなどをして,早期に判決を得ることができます。
Q:判決が出るまでにはどれくらいかかりますか。
A:当事者間で争いが少なければ,早期に解決しますが,争点が多かったり感情のもつれなどがあると長期化することもあるので、かかる時間の目安を示すことは困難です。ただ、一般的には1審判決が出るまで1年くらいはかかることが多い印象です。
Q:裁判になると判決でしか決着がつきませんか。
A:裁判になっても,裁判上の和解などで解決することも多いです。
Q:裁判離婚の場合にも届出が必要ですか。
A:調停離婚の場合と同様,届出が必要です。判決書の謄本と判決が確定したことを証明する確定証明書を添付して市町村役場に届け出ることになります。
Q:夫と離婚することに合意しましたが、親権者をどちらにするか話し合いがまとまりません。どうしたらよいですか。
A:協議離婚の場合には、離婚届において親権者を指定しますが、親権者を指定する協議が夫婦間で整わない場合や協議ができない場合には、家庭裁判所に対して協議に代わる審判又は調停を申し立てることができます。もっとも、協議離婚自体が調わないことで,離婚調停や離婚訴訟になり,その中で親権についても併せて決せられることが多いようです。
Q:判決において親権者を指定する場合の判断基準を教えてください。
A:@父母の健康、精神状態、生活態度、経済状態(資産、収入)、家庭環境、住居、教育環境、A父母の子に対する愛情の度合い、B監護補助者の有無、補助の程度・方法、C父母の再婚の可能性、離婚の有責性、D子の年齢と意思などを総合的に考慮して判断されているようです。
Q:子どもがまだ小さいので、働くことができません。夫と離婚する場合、収入がなければ、親権者となることはできませんか。
A:収入がないというだけで、親権者となれないわけではありません。経済状態も重要な要素ですが、子に対する愛情、子どもの年齢、これまでの養育状況、子どもを養育するにあたって、周囲に協力してくれる人がいるかなど、さまざまな要素を考慮して判断されるので、収入がないからといって直ちに親権者となることが否定されるわけではありません。
Q:親権者を変更することはできますか。
A:できる場合もあります。当事者の協議や戸籍の届出だけではできないので家事審判手続による必要があります。子の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることになります。親権者の養育監護の現状に問題があると、親権者の変更が認められることもありますが、養育の現状に特に問題がない場合には、親権者の変更は認められにくいといえます。
Q:私たち夫婦は、離婚を前提として別居しています。妻の元で生活している子どもと会いたいのですが、妻が会わせてくれません。法的手続をとることはできますか。
A:家庭裁判所に子の監護に関する処分(面会交流)の調停の申立をすることができます。この調停では、回数(例えば、月1回)、方法などについて面会のルールを決めるための話し合いをします。
Q:面会交流とは何ですか。面会交流にはどのような方法がありますか。
A:離婚の有無を問わず,父母が別居し,子が一方の親に監護されている状態において,面会その他の方法で非監護親が子と交流することをいいます。 面会交流の方法は,直接会って一緒に時間を過ごすことが原則ですが,電話や電子メール・手紙等で連絡を取り合う方法(間接的交流と呼ばれます。)もあります。
Q:離婚の際に,私が親権者になりましたが,元配偶者と養育費についての取り決めをしませんでした。現在,養育費をもらっていないので面会交流を拒絶できますか。あるいは,養育費の支払いを面会交流の条件とすることはできますか。
A:養育費と面会交流は,あくまで別個の問題ですので,基本的には養育費不払いを面会交流拒絶の理由としたり,反対に養育費の支払いを面会交流の条件としたりすることは出来ないと考えられます。 養育費の問題は,養育費請求調停等で解決を図るべきことになります。
Q:離婚後,私が子の親権者になりましたが,今回,再婚することになり,再婚相手とは養子縁組もする予定です。今後,子と元配偶者との面会交流を拒むことはできますか。
A:親の再婚や養子縁組によっても,子と非監護親との実親子関係が消滅するものではなく,面会交流の必要性・重要性が失われることにはなりませんので,直ちに面会交流を制限すべき理由にはならないと考えられます。 もっとも,再婚が子に与える影響は小さいものではないため,場合によっては子が新しい生活環境に馴染むまで,一時的な面会交流の停止や,方法の変更等の子に対する配慮が必要になることもあります。
Q:祖父母には孫との面会交流の権利はないのですか。
A:面会交流は,「父又は母と子との面会及びその他の交流」と規定され,また,「子の監護について必要な事項」に含まれるものとされています(民法766条1項)。そのため,一般的には祖父母には法的権利としての面会交流権はないと考えられています。
Q:元配偶者が親権者となり,面会交流についても調停で取り決めていましたが,相手が何かと理由をつけて面会交流に応じません。面会交流に応じさせる法的手段はありませんか。
A:面会交流の調停が成立していても,当然に強制的に面会交流をさせること(強制執行)が可能となるものではありません。 面会交流の履行が不十分な場合,非監護親から家庭裁判所に対して,義務の履行状況の調査や,監護親への履行勧告を求めることができます。 なお,面会交流について,間接強制(義務者が義務を怠った場合に,一定の金銭給付というペナルティーを課すことで間接的に義務の履行を促すという強制執行の方法)が可能となる場合もありますが,このような間接強制が可能な程度に監護親の義務が具体化された調停条項を定めるには困難を伴うことも多いのが実情です。 また,間接強制が可能な程度の調停条項を定める場合にも,面会交流はあくまで子の福祉のためになされるものであり,子の成長段階や生活状況等の変化に応じてあるべき面会交流の方法も変化し得るものですので,硬直的な調停条項は必ずしも望ましいものではありません。そのため,間接強制を可能とする調停条項を定めるに当たっては,その必要性,相当性を慎重に検討する必要があります。
Q:私と相手だけで面会交流を実施することは難しいのですが,面会交流を手助けしてくれる機関はありませんか?
A:元家庭裁判所調査官を中心として運営されているFPIC(公益社団法人家庭問題情報センター)等の第三者機関が,面会交流の支援を行っています。ただし,監護親と非監護親との間で面会交流の条件についての合意が出来ること等が条件になっており,また費用もかかります。
Q:現在,子の引渡しを求めて,家事審判中です。子どもは,現在14歳なのですが,相手の元から私の元に戻りたいと言っています。子ども自身の意向はどの程度汲み取って貰えるのでしょうか。
A:家事審判の場面では,子が15歳以上の場合には子の意見も聴かなければならず,15歳未満の場合でも子の年齢や発達の程度に応じて,その意思が考慮されなければならないとされています。14歳であれば,子ども自身の意向が相当程度考慮されると思われます。
Q:子の引渡しについて,どのように強制執行をするのでしょうか。
A:直接強制と間接強制という方法があります。 直接強制とは,裁判所の執行官が子どもを監護している親の所に行き,直接子どもを連れ帰るという手段です。直接強制は,子どもが自分の意思を表明する能力を持っていない場合でなければ用いることができないとされており,裁判例上は,小学校低学年程度までであれば,直接強制が認められる余地があるといわれています。 間接強制とは,「何日以内に子どもを引き渡さない場合には,1日経過する毎に●万円支払え。」等と命じることによって間接的に引き渡しを強制する手段です。
Q:どのような場合に,人身保護法による子の引渡しが認められるのでしょうか。
A:人身保護法による子の引き渡しは容易には認められませんが,調停において親権者を定める合意をしたにもかかわらず,非親権者が,この合意に反して親権者の元から子どもを奪うような「顕著な違法性」がある場合に,子の引渡しが認められた事例があります。
Q:子供の養育費はどのくらいもらえますか。
A:養育費とは、未成熟子が独立の社会人として成長自立するまでに要する全ての費用をいいます。養育費は,父母それぞれの収入や支出,子供の年齢や人数,その養育に必要な金額など,双方の事情が考慮されます。 現在,裁判所の調停・審判・訴訟においては,過去に調停や審判で決定された養育費用の金額を基礎にして作られた算定方式・算定表が利用されています。この算定方式・算定表は,権利者と義務者の総収入と,権利者が監護している子どもの年齢及び人数を基準にしていて,これらの基準を元に個々の事例に応じで金額を算出することになります。
Q:子供の養育費はいつまでもらえますか。
一般的には,「未成年者が成人に達する日の属する月まで」とする扱いが多いです。しかし,父母の学歴などの家庭環境や,資力によって「高等学校を卒業する日の属する月まで」や「大学又はこれに準ずる高等教育機関を卒業する日の属する月まで」といったように個別に定めることも可能です
Q:養育費を増額したり、減額したりすることはできますか。
A:支払う側または請求する側において、養育費を取り決めた時から事情が変化した場合には、養育費の増減額請求ができます。事情の変化の具体例としては、父又は母の再婚及び養子縁組や父母双方の職業、社会的地位の変化による収入支出の増減、父母の病気、当事者を取り巻く社会的状況の変動などがあります。
Q:離婚調停の際に決めた養育費を夫が支払ってくれません。どうしたらよいですか。
A:家庭裁判所に申し出て履行勧告や履行命令をして貰うといった方法や,強制執行手続をとるなどの方法があります。履行命令に違反した場合には,10万円以下の過料の制裁があります(家事事件手続法第290条5項,人事訴訟法第39条4項)。 また,元夫の勤務先を把握しているのであれば,給与の差押えを行えば直接会社から養育費の取立てをすることができるので有効でしょう。平成15年の民事執行法改正により,一旦不履行があったら,期限の到来していない将来の分についても債権執行を行うことができるようになりました(民事執行法第151条の2第1項)。また,給与の差押えをする場合,養育費の場合は給与の2分の1まで(通常は4分の1まで)差押えをすることができるようになっています(民事執行法第152条3項)。
Q:夫が離婚したいと言って家を出てしまいました。生活費も入れてくれません。どうしたらよいですか。
A:家庭裁判所に婚姻費用分担の調停を申し立てることができます。婚姻費用とは、夫婦の共同生活において、財産、収入、社会的地位等に応じた通常の生活を維持するために必要な生計費をいい、衣食住の費用をはじめ、医療費、養育費などが含まれます。別居し、離婚調停・離婚訴訟が係属している場合でも、離婚に至るまでは、原則として婚姻費用の分担を請求することができます。
Q:1年前から夫と別居しています。別居してしばらくは,夫は生活費をくれていましたが,ここ半年は生活費を支払ってくません。調停ではいつからの婚姻費用を求めることができるのでしょうか。
A:実務は,始期を請求時以降とするものが多いです。「請求時」とは,調停又は審判の申立時というのが一般的ですが,その前に事実上請求をしていれば,その事実上の請求時も含まれうるものです。内容証明郵便をもって婚姻費用の分担を求める意思を表明した場合で,その時期が始期となるという審判例もあります(東京家審平成27年8月13日)。
Q:離婚する場合、どのような財産が財産分与の対象となりますか。
A:特有財産は、原則として財産分与の対象となりません。特有財産とは、名実ともに夫婦それぞれの財産のことで、婚姻前から各自が所有していたものや婚姻中に一方が相続した財産などがこれにあたります。 特有財産以外の夫婦で築いた財産は、名義のいかんを問わず、財産分与の対象となります。たとえば、不動産、自家用車、預貯金など夫婦の一方の名義になっていても、婚姻中(別居時まで)に夫婦が協力して取得したものがこれに当たります。
Q:退職金は、財産分与の対象になりますか。
A:すでに、受領したもの、支給が決定したものは財産分与の対象となります。将来支給される退職金についても、財産分与の決定に際して考慮される傾向にありますです。金額の算出に当たっては、退職金総額×(婚姻期間/退職金基準期間)÷2として計算されることが多いです。
Q:私の浮気が原因で妻と離婚することになりました。めぼしい財産としては私が債務者としてローンを組んでいる自宅不動産しかありません。どのように財産分与したら良いですか。
A:実務上は、ローンの残額を不動産の時価から差し引いたものを当該不動産の価値として、財産分与の対象とする方法がよく行われています。 オーバーローン(ローンの残額が不動産の時価を上回っていること。)の場合は、ローンの名義人がローンと不動産を引き継ぐ形で解決することもあります。
Q:協議離婚が成立し、離婚届を提出しました。今から財産分与の請求はできますか。
A:離婚の成立後、2年以内であれば、財産分与の請求は可能です。 当事者同士の協議での解決が難しい場合には、相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所に財産分与を求めて調停を申し立てることができます。
Q:夫の不貞行為で離婚することになりました。財産分与として相当の財産はもらえる見込みですが、これとは別に慰謝料を請求することはできますか。
A:財産分与の制度は、夫婦の共同財産を清算するものであるため、離婚による慰謝料とは性質を異にします。したがって、財産分与とは別に慰謝料を請求することは原則として妨げられません。 但し、財産分与は慰謝料的要素を含めて定めることもできるため、慰謝料的要素を考慮して財産分与を行い、請求者の精神的苦痛が慰謝されたと認められる場合には、重ねて慰謝料を請求することはできない場合もあります。
Q:夫の不貞が原因で離婚することになりました。夫からは慰謝料をもらったのですが、不貞相手からも慰謝料をもらいたいと思います。できますか。
A:不貞の態様と夫から支払われた慰謝料の金額に照らし、あなたが夫から十分な慰謝料を受け取っていない場合には、不貞相手への請求が認められる場合もあります。 法律上は、夫と不貞相手が共同してあなたに損害を与えたとして、共同不法行為が成立すると考えます。したがって、夫と不貞相手に対し、あなたは損害賠償(慰謝料)を請求することができます。ただ、この場合の損害賠償義務は、夫と不貞相手が共同して負担することになるので、一方が全額を支払えば、あなたは他方に請求することはできなくなります。 例えば、不貞によって被ったあなたの精神的苦痛に対する慰謝料が200万円と認定されたとすると、夫が200万円以上の慰謝料をあなたに支払った場合には、あなたは不貞相手にこれ以上請求することはできず、後は夫と不貞相手の間で、その責任に応じて、内部的に負担額を分担するということになります。
Q:結婚を前提に同棲していた相手から、一方的に関係を解消されました。相手に損害賠償請求をすることができますか。
A:婚約が成立していたと認められ、関係の解消が不当な婚約破棄に該当すると判断された場合には、損害賠償請求ができる可能性があります。
Q:夫の不貞行為で離婚することになりました。財産分与として相当の財産はもらいましたが、さらに慰謝料を請求することはできますか。
A:財産分与の制度は、夫婦の共同財産を清算し、離婚後における一方当事者の生計の維持を図ることを目的とするものであるので、離婚による慰謝料とは性質を異にします。したがって、財産分与がなされたからといって慰謝料を別途請求することは妨げられません。しかし、財産分与には、慰謝料を含めて定めることもできるので、財産分与によって、請求者の精神的苦痛が全て慰謝されたと認められる場合には、重ねて慰謝料を請求することはできませんが、財産分与がなされても、それが離婚による慰謝料を含めた趣旨とは解されない場合や精神的苦痛を慰謝するには足りないと認められる場合には、改めて慰謝料請求をすることができます。
Q:夫の浮気が原因で離婚することになりました。夫からは慰謝料をもらったのですが、浮気相手からも慰謝料をもらいたいと思います。できますか。
A:慰謝料請求が認められない場合もあります。法律上は、夫と浮気相手が共同してあなたに損害を与えたとして、共同不法行為が成立すると考えます。したがって、夫と浮気相手に対し、あなたは損害賠償(慰謝料)を請求することができます。ただ、この場合の損害賠償義務は、夫と浮気相手が共同して負担することになるので、一方が全額を支払えば、あなたは他方に請求することはできなくなります。例えば、浮気によって被ったあなたの精神的苦痛対する慰謝料が300万円と認定されたとすると、夫が300万円以上の慰謝料をあなたに支払った場合には、あなたは浮気相手にこれ以上請求することはできず、後は夫と浮気相手の間で、その責任に応じて、内部的に負担額を分担するということになるわけです。あなたが夫から十分な慰謝料を受け取っていない場合には、浮気相手に対し、慰謝料を請求することもできますが、浮気相手が自己の地位や夫の弱点を利用するなどの悪質な手段に出ていない限り、浮気の主たる責任は夫にあり、浮気相手の責任は副次的なものと考えられるので、慰謝料請求が減額されることもあります。
Q:婚約を解消されました。相手方に損害賠償請求をすることができますか。
A:嫁入り道具の返還や結納の返還を求めることはできますが、婚約破棄の理由が相性が悪い、年回りが悪い、家風が合わないなどにある不当な婚約解消の場合でない限り、損害賠償請求は認められません。